2019年7月12日金曜日

シルバーラッシュ50ラン・レースレポート

大会:「シルバーラッシュ50」ラン🏃‍♂️
(「レッドマン」・シリーズ第2戦)
(「シルバーキング」・翌日のMTB50マイルと合わせた2日間ステージレース)

開催地:コロラド州レッドビル🇺🇸


結果:シルバーキング部門8位、総合38位
タイム:8:41:54
距離:80.5km
STRAVA:
https://www.strava.com/activities/2510036708/overview
獲得標高:約2100m
最高標高:3617m
平均標高:3350m


今季最大の目標、MTB&トレイルラン複合レースシリーズ「レッドマン」の2戦目となる今レース。

50マイル(80キロ)という距離は、自転車では何度も経験している距離だが、トレイルランでは未体験であり、最長距離となる。人生で経験したことのない世界に不安はありつつもワクワクしている自分もいた。

この「シルバーラッシュ50」は土曜日に50マイルラン、日曜日に50マイルMTBがある。普通はどちらかに出場するが、私がエントリーした「シルバーキング」は両日の総合タイムを競うクレイジーなカテゴリーだ。

少々複雑だが、今レースは、同時に「レッドマン」シリーズの第2戦でもある。

「レッドマン」選手はランかMTBどちらかに出場すればオーケー。そして、結果が良い方がカウントされるシステム。

私は、当初MTBだけにエントリー予定だったが、50マイルランは最高の100マイルへ向けてのトレーニングにもなると判断し、両日の出場を決めた。

仮にMTBだけに出場して、メカトラなどでフィニッシュできなかった場合、そこでシリーズが終わりになってしまうので、ランへの出場は保険も兼ねている。

朝3時起床。

レース開始までに消化時間を確保するため、起きてすぐに朝食

生のアーモンドバターをたっぷり塗った全粒粉のパンにバナナとブルーベリーを載せたお気に入りの朝食。それにチョコレート味の植物性プロテインにビーツパウダーを混ぜたドリンクを飲む。美味しくゆっくり味わってテンションを上げる。

5時。まだ薄暗い会場へ到着。

程よい緊張感はあるが、基本的にゆるめの感じのアメリカのスタートラインが私は好きで心地良い。

朝6時、約500人のトレイルランナーがスタート。

スキーのゲレンデ斜度の激坂からレースはスタートし、強制的に心拍数が一気に上がる。

ちなみに、スタートの激坂を一番最初に通過するとレッドビル100へのエントリー資格がもらえるという特典がある。

↓は2016年の映像だが、その激しいスタートの様子がわかる。
私は、シリーズエントリーしているのでここで飛ばす必要はなく、淡々とスタート。それでも心臓バクバク。

手持ちのボトルにはコースプロファイル、ペース配分、モットーを記してある。
マイルポイントはエイドステーション。エイドには飲食が充実しているので基本ボトル一本でレースを進めることができた。


 基本的には心拍数125-135あたりで巡航し、登り坂でも140を越えたらできるだけスピードを抑えるペース配分。

MTBレースだと長距離であろうと、ほぼ全力に近いペースでレースし、他者との競い合いをするが、ウルトラ距離のランではそううまくいかない。

特に私はまだウルトラビギナーなので、この80キロという人生初の距離を完走できるかすら未知の領域。

少しもどかしいが、逸る気持ちを抑えてできるかぎりこのペーシングを守った。

ボトルにも書いた今回掲げたモットー「楽笑」。

楽勝の「勝」を「笑」に変えて。

楽して勝つ、ではなく

楽しく勝つ。

そして、笑えるくらい楽しくレースをする。

もちろんレースである以上、追い込んで辛くキツい場面は幾度となく襲ってくる。

しかし、その状況こそが自己の可能性を広げるチャンスでもある。

その状況を乗り越えるプロセスを、思い切り楽しんで過去の自分を超えていこう!というコンセプト。


辛くくじけそうな時こそ、無理矢理にでも口角を上げて笑ってみる。そうすると力みが抜けて、心身ともに少し楽になる。

そして、この辛い状況こそが自分が望んでいたものだと自分に言い聞かせ、心をポジティブにしていく。

しかしながらずっとポジティブでいるのは、非常に難しい。

この心身のアップダウンをレース中、数え切れないほど繰り返す。



36マイル地点から最後の長い登り、標高3600m級の峠を目指す。

ここまでがウォームアップという意識でいたが、7時間走り続けているダメージで身体はほぼ限界にきていた。

さらには、天候が崩れ始めて、雨が雪に変わり、冷たく湿った雪が身体に痛く降り当たる。

歩きたい誘惑に駆られていたが、ここでスローダウンしたら体も冷えてしまう。

歩くスピードと変わらないかもしれないが、必死に走って登り続けた。

峠の折り返し付近で、ようやく雪が止み、晴れ間さえも見えてくる。

気温も上がり、さっきまで震えそうに寒かったのに今は汗ばむほどになっている。そして、横には残雪がある摩訶不思議なシチュエーション。

標高の高い山ほど、天気は目まぐるしく変わることを改めて実感する。

ここからフィニッシュまで約16キロ。

短いアップダウンはあるが、長い登りはなく、基本的には下りが多めのプロファイル。

楽かと思いきや、下り始めると一歩進むごとに身体に痛みが走る。

足がむくんで大きくなっているのか、爪先が靴の先端に当たり、痛みが増してくる。

通常よりハーフサイズ大きいシューズだが、100マイルではワンサイズ大きいシューズの用意も必要だと思った。

痛みに耐えながら下っているのでとても遅い。
登りで抜かした選手にことごとく抜き返されていく。

さらに、雪で冷えたのか、標高のせいか、ガスが溜まっているのか、ジェルの飲み過ぎか、とにかくお腹の調子が悪い。

正直、笑いたいけれど笑えない極限の状況だ。

痛みに加えて、お腹を下す寸前で、おそらく顔も青ざめていただろう。

そこでタイミングよく、43マイル地点の最後のエイドステーションが見えた。

飛び込むように簡易トイレに入った。
トイレがあって本当に救われた。

この間にタイムロスと順位を落としはしたものの、お腹も回復し、心もだいぶ楽になった。

ラスト10キロ。
もう何もセーブせずに、全力をフィニッシュまで出し尽くすのみ。

最後の追撃モードの開始だ。

70キロ走った後とは思えないほどに、エネルギーとパワーどこからか再び湧いてくる。

次々と前の選手を抜かして、順位を取り戻していく。

まさにランナーズハイとなり、
自分のゾーンに入っていた。

しかし、ふとした瞬間にフラッとしたり、つまづいたりもする。やはり身体は限界にきている。

ハイになっている精神が足を動かしている感覚だ。

自分の身体よ。
このままゴールまで続いてくれ。

心からそう願っていたが、フィニッシュまで4キロ地点あたりで、身体の痛みに耐えられずにスローダウンを余儀無くされる。ジョギングペースすら保てないほどだ。

後ろからも抜いた選手が再び追いついてくるのが視界に入る。

しかし、ここで奇跡のサプライズが!

私の所属するトピーク・エルゴンレーシングチームの選手であり、チームマネージャーでもあるジェフが、バイクトレーニングを兼ねて応援に来てくれたのだ。

Looking good! いい感じだ!
You are almost there! ゴールまで後少し!
Finish STRONG! 最後まで力強くフィニッシュしろ!

記憶は定かではないが、こんな感じの声援をくれたと思う。

仲間の姿を見ること。
そして、その応援。

それは計り知れないパワーを私にくれた。
©︎Jeff Kerkove

再びスピードアップができ、

そして、再び笑うこともできた。

本当にありがとうジェフ。


レッドビルレースシリーズお馴染みのフィニッシュゲートへ続くレッドカーペット。

笑顔でたどり着くことができた。



 人生最長距離の50マイル(80キロ)ラン。

8時間41分54秒で完走。

長いようで短く、そしてなんて濃密な時間だっただろう。



シルバーマン初日は8位。

明日は、私のメインスポーツであるMTBで、同じコースでの50マイルレースだ。

ランのタイム差をどこまで挽回できるかがチャレンジとなるだろう。

しかし、想像以上にダメージが大きく、フィニッシュから車へ戻るのも一苦労。一回座ると、何か掴まないと立ち上がれないほどだ。

自転車のペダルをこげるのかすら怪しいくらいだが、

一晩でどれだけ回復できるかがレースに大きく影響するだろう。

明日の朝にはきっと動いてくれるはずだ。

シルバーラッシュ50MTB・レースレポートへ続く。

50マイルランへの
たくさんの応援、ありがとうございました!



私と共に80kmを戦ってくれた素晴らしいパートナー達。

ニューハレ:テーピング・Vテープ(膝)、Xテープ(足首)

GORE WEAR:R7シャツ
GORE WEAR:R7ショーツ
GORE WEAR:オプティヘッドバンド

GORE WEAR:R7ゴアテックスシェイクドライフーデッドジャケット
GORE WEAR:M アームウォーマー
GORE WEAR:C7ショートフィンガー

AIR FIT:貼る心拍計

GU:ジェル&ドリンク


Chamois Butter:擦れ防止クリーム

AmpHuman PR Lotion:パフォーマンスクリーム

ALTRA TIMP1.5:シューズ