2023年3月16~18日
大会:『ドラゴントレイルMTB』3日間ステージレース
結果:4位(40-49) 総合14位
タイム:7時間42分18秒(3日間合計タイム)
総距離:約145km
場所:オーストラリア・タスマニア島
今回のレースの舞台となったタスマニアは、オーストラリアの小さい島だが、本土以上にMTBシーンが盛り上がっていると言われている。
MTBのXCO、MTBマラソン、エンデューロ、グラベルのナショナルチャンピオンシップもタスマニア島で開催もされている。今年に至ってはなんとエンデューロのワールドカップが2戦も開かれている。
私が今回のレース出場を決めたきっかけは、1月のスリランカ縦断ツアーで再会したオーストラリアの友人から『ドラゴントレイルMTB』を強く勧められ、最高のMTB体験ができると言われ、「これは出るしかない!」と参戦を即決した。
レースレポートに入る前に、なぜタスマニアでここまでMTBが盛んになっているかを記したい。
一番の理由はトレイルの質と大規模なトレイルネットワーク。
タスマニアでは、「ワールドトレイル」等のトレイル建設会社が、MTBに特化した最高品質のトレイルをプロフェッショナルに作っている。
これがレースシーンの盛り上がりだけでなく、町興しとしても大きく貢献している。
例えば、今回のレース初日のダービーの町は、MTBトレイルが建設される前はガソリンスタンドと郵便局くらいしかない小さい町だったと聞く。
しかし、今ではいくつものバイクショップ、カフェ、レストランが立ち並び、宿も予約でいっぱいとなる人気スポットとなっている。
MTBガイド、レンタル、シャトルツアーの会社も多くあり、最高のMTB体験を求めてオーストラリアに限らず、世界中からMTB愛好家が訪れるという。
実際に私も、家族連れや外国のMTB乗りを多く町で見かけ、MTBで賑わっている最高の町だと感じた。
今回、このように世界中のMTB愛好家を魅了するタスマニアのトレイルでレースできることに、出国前から興奮が止まらなかった。
興奮しながらレース受付で80番のナンバープレートを受け取り記念撮影↓
DAY1〜Derby Flow〜
距離:5km(プロローグ)+38km(本ステージ)
獲得標高:約1100m
路面コンディション:ウェット
天候:雨
STRAVA:
プロローグ:https://www.strava.com/activities/8721804325
本ステージ:https://www.strava.com/activities/8721811245
スタートには、オーストラリアの24時間耐久ナショナルチャンピオン、全大会優勝者、リオオリンピアン、エクステラプロ選手、ニュージーランドのトップ選手達を始め、豪華な顔ぶれが並んだ。
5kmのプロローグから始まり、その順位で本レースのスタート順が決まる。プロローグは10分ちょっとなので最初から全力走。コースはほぼシングルトラックで抜き場はないので、スタートでのダッシュが超重要となる。
ポジション争いの激しい攻防の中で17番手で終え、本ステージを迎えた。
本ステージコースプロファイル↓
30秒毎にスタートするTT形式。
雨が降る中でトレイル状態が不安だが、同時に最高のトレイルにワクワクしながらスタートを切った。長距離ライダーの強みを活かして、落ち着いて徐々に前にスタートした選手を追い抜いていく。
レースをしながらもトレイルの作りの素晴らしさ思わず「WOW!」「Yeah!」「Woo hoo!」何度も叫んでしまった。
↓のような担ぎセクションもあり、アドベンチャー感がたまらなく面白い。
雨の降りが激しくなり、コースはかなりテクニカルになり、岩も木の根もツルツル。集中力が少しでも欠けると瞬時にクラッシュするような状態だ。
そんな危険な状態だが、久々に味わうレースの緊張感を楽しんでいる自分がいる。
こんなスリリングなトンネルセクションもあり、最後までレーサーを飽きさせない最高のコース設定だ。
初日は総合15位、エイジ4位(40-49)。
オーストラリアとニュージーランドのトップ選手のフィットネスとスキルレベルの高さに驚くとともに、この3日間で彼らからどれだけ多くのことを学べるかも楽しみとなった。
ちなみに大会中はテント生活。
正直大変な面もあるが、これもMTBステージレースの醍醐味。
テント生活を通して、参加者との交流の時間も多く、たくさんの経験を共有できる。
Day2 〜Bay of Fires〜
距離:56km
獲得標高:約1160m
路面コンディション:ドライ〜ウェット
天候:晴れ
STRAVA: https://www.strava.com/activities/8727182717
ステージ2からは、20人ずつのスタート形式。シングルトラックが多いので、渋滞回避の工夫をしている。
このステージも例に漏れずに、極上のトレイルがエンドレスに続く。しかしながらトップ集団のスキルの高さがすごい。
一瞬でも気を抜くとすぐに離される。
次々と現れる日本では経験したことのない高くタイトなバーム、ジャンプ、ロックセクション。
速い選手の後ろに着いて、同じ動きとライン取りをすればなんとか離されないでいける。この機会に後ろからしっかりとスキルを吸収させてもらう。
コース最高地点の絶景トレイル!
このご褒美景色が登りの疲れも一瞬忘れさせてくれる。
トップからのダウンヒルは20分以上のローラーコースターなシングルトラック。楽しすぎてアドレナリンが止まらない!
写真からもわかるように、レースで追い込みながらも自然に笑顔になっている。それほどのご機嫌トレイルなのだ。
しかしながらレースはレース。終始追い込み続ける。
目標は総合トップ10だが、なかなか10〜15位の集団から飛び抜けることができない。
終盤は足を攣りかけながらも、なんとか前日より一つ順位を上げてフィニッシュ。
総合14位、エイジは変わらず4位(40代)。
フィニッシュ地点は美しいビーチ。
このあとみんなで海水浴!
このビーチエリアは「Bay of fire」炎の入江と言われ、このような景色も見られます↓
レースはとんでもなくきついけれど終われば全力で戦ったライバル達と談笑する。この皆との時間が大好きだ。
Day3 〜St Helens Dreaming〜
距離:43km
獲得標高:約1000m
路面コンディション:ドライ
天候:晴れ
STRAVA: https://www.strava.com/activities/8732133356
充実しすぎてあっという間に3日目の最終ステージ。
泣いても笑っても今日が最後。
なんとか一つでも順位を上げたい。
しかし、それは皆も同じ思い。
3日目もスタートから全力のロケットダッシュで、シングルトラックへの激しい争いが始まる!
3日目にもなると実力の近いライバル選手が分かり、その中で負けないように高めあう関係が生まれる。
個々の得意なところや苦手なところで先頭を変えて相乗効果となる。
このセントへレンズというエリアのトレイルは、最終ステージにふさわしく、とてもチャレンジングだが、MTB好きにはたまらないご機嫌トレイルだ。
ワールドトレイル社が手がけるトレイルの代名詞ともいえるスイッチバック。
このスイッチバックのおかげで登りの斜度は楽だが、スピードが上がれば上がるほど難易度が増す。
初日はコーナーでスピードがうまく乗せられなかったが、最終日にはだいぶ慣れてスムーズに曲がれるようになった。ゲームをクリアするような感覚でとても好きなセクションだ。
こんなにも楽しいシングルトラックを長く乗る経験はとてもレアだ。しかも、レースなので全開でトレイルを駆け抜けることができる。この上ない喜びだ。
最終日になりだいぶテクニカルなトレイルに対応できるようになったが、やはり普段からこのようなMTB専用トレイルに乗り慣れているトップ選手達はとても強く上手い。
フィットネスを高めることはもちろん重要だが、MTB専用トレイルを乗り込んでスキルを見直すことの重要性を改めて感じた。
終盤で総合13位に上がり、単独走となる。
前は見えないが、諦めずに現状の持てる力を振り絞り、ラストスパートをかける。
ゴールまであと1kmのサインが見える。
キツくて早く終えたい気持ちと、もっと長くこの極上のトレイルを乗っていたいという気持ちが複雑に入り混じる。
2時間17分で総合13位、40代は4位で最終日をフィニッシュ。
たくさんの人たちがゴール地点で迎えてくれて笑顔で3日間ステージレースを終えることができた。
普段出ている4時間以上のレースからすると短く、強度の高いステージだった。
しかし、忘れかけていたスピードレースの緊張感、アドレナリンが溢れ、心が熱くなる感覚はとても刺激的で毎日エンジョイすることができた。
そして、毎日質の高いトレイルをパワー全開で乗り、レベルの高い選手達と乗ることで、日毎に技術が改善されていく実感もできた。
その成果が結果にも活きて、15-14-13位と少しだが毎日順位を一つずつ上げることに繋がった。
優勝したジョン・アダムス選手、キャレン・ヒル選手。
二人とも友達だけに私も自分のことのように嬉しい気持ちになった。おめでとう!
素晴らしいコース設定と運営をしてくれた大会スタッフの方達には心から感謝。
毎日、選手達のテント・荷物、メイン会場などを撤収して、次の場所まで運んで設営をしてくれていた。おかげで選手達はストレスなくテント生活とレースができた。
ドラゴントレイルMTBのマスコットドラゴンが可愛かった〜!
↓大会メカニックの人たちにはメカトラ対応してもらい、無事にレースを終えることができました。
毎日素晴らしい写真をたくさん撮ってくれたカメラマン達にも心から感謝。みんな本当に臨場感あるクールな写真を沢山撮ってくれました。ありがとう!
そして、メディア班に加わりながら私のレースサポートまでしてくれた妻の清子にも心から感謝。ありがとう。メディアカーで慣れないオフロード運転も頑張ってくれました。
もう明日から極上トレイルでレースが無いと思うと、ポッカリ心に穴が空いてしまったようだ。
それだけタスマニアの素晴らしいトレイル、大自然、大会、出会った人達に魅了されたということだろう。
またすぐにでも戻って来たいところだが、今大会は1年おきの開催なので次大会は再来年の2025年。
自信を持って全てのマウンテンバイカーにお勧めできるイベント!
レースではなくてもライドに行くだけでも価値がある場所です。絶対に後悔しないので、ぜひ日本からみんなでタスマニアへレッツゴー&ライド!
~レース機材・装備~バイク: Canyon LUX CF SLX
ホイール:DT SWISS XRC 1200 SPLINE, 25mm
パーソナルスポンサー:
チームスポンサー: