各ステージ結果→
https://results.chronotrack.com/event/results/event/event-31401
レースパートナー:グラント・アシャー選手 (Grant Usher)・南アフリカ
獲得UCIポイント:35pt
第2回大会「ラ・レイェンダ・デル・ドラド」(日本語で「黄金の伝説」)は今年からUCIレースとなり、昨年よりも参加者が約3倍に増え、競技レベルの厚さも格段にアップした。
そして、
「マウンテンバイクのエベレスト」
と称され、コースプロファイルの通り、とにかく登りと標高の高さがすごいことになっている。
©La Leyenda del Dorado
今レースは、ソロカテゴリーはなく、二人一組のチーム戦。
私は南アフリカのグラント・アシャー選手とタッグを組んでのレース参戦。
グラントとは日本で行われたシングルスピード世界選手権で出会い、昨年は南アフリカの9日間ステージレース「ジョーバーグ2C」でライバルとして戦った仲。
初めて訪れるコロンビアの地で、南アフリカの選手とチームを組む。なんて面白い国際経験だろうか。
7日間でカルダスの山岳地域を約482km、獲得標高16082m走破するビッグイベントだ。
©La Leyenda del Dorado
世界チャンピオン経験者、多数のナショナルチャンピオン、XCO・XCMのトップ選手がスタートに名を連ねる。
物怖じはしていない。むしろこのチャレンジャーの立場を楽しみ、ワクワクさえしている。
初日、プロローグ。タイムトライアル形式の1分ごとのスタート。
©La Leyenda del Dorado
いよいよ7日間の激闘のスタートだ。
最初から最後まで全開。短いステージとはいえ、その激しい起伏は難関だった。
©La Leyenda del Dorado
中盤からグラントの調子が優れなく、ペースを少し落としたが、一桁9位で初日を終えた。悪くない。
2日目、ステージ1。
©La Leyenda del Dorado
体調も良く、笑顔でのスタート前。
©La Leyenda del Dorado
レース展開は、登りでは私が引っ張り、平坦ではグラントがリードし、下りはお互い自信があるので問題なし。お互いの長所を生かし、レースを進めた。
周りがパンクやトラブルが多かった中で、安定の走りで6位でフィニッシュ。
©La Leyenda del Dorado
3日目。ステージ2。
©La Leyenda del Dorado
難易度がかなり高いコース。第2エイドステーションの手前から続く坂は、20%を越えるテクニカルな激坂が延々と続く。
ただ斜度があるだけでなく、路面が砂利や岩で滑る。一瞬でも気をぬくと、足を着いてしまう。一度止まると再乗車が難しいので、必死でクリアしていく。そんな坂と1時間以上格闘して峠を目指す。
登り終えた後も激しいアップダウンが続く。
気持ちも体も疲弊してくる中、途中で通る村や町はレースを歓迎してくれて大掛かりに応援してくれた。これは本当に嬉しく、パワーも再び湧いてくる。特に子供達の熱狂ぶりには感動。
©La Leyenda del Dorado
子供達とハイタッチ。
©La Leyenda del Dorado
フィニッシュ地点のサラミナは町を挙げての歓迎ムード!
地鳴りがしそうな歓声に迎えられての感動のフィニッシュ。こんなにも暖かく、素晴らしいフィニッシュは今まで経験したことがないほど。
©La Leyenda del Dorado
日本と南アフリカの国旗も用意してくれていました。赤丸が少し小さいけれど(笑)心から感謝!
©La Leyenda del Dorado
後半私がペースを落としてしまったが、なんとか一桁を死守して9位でフィニッシュ。
4日目。ステージ3。クロスカントリーサーキット。8キロコースを3周の24km。
サラミナの町は山岳地帯にあり、平地が一切なく、街中の坂も15%以上が当たり前。
舗装路セクションとはいえ決して楽ができない。
©La Leyenda del Dorado
スタートは8時。久しぶりのXCスタイルに興奮する。
©La Leyenda del Dorado
シングルトラックもタイトでテクニカル。気は抜けないが、非常に面白いコースだ。
舗装路セクションは照り返しが強く、暑さが体力を奪う。
©La Leyenda del Dorado
この日も多くの観客が大声援を送ってくれた。
訪れる町とレースが協力して盛り上げる。観光地でもないので外国人が来ること自体珍しい町。私たちも、子供達、町の人たちも国際交流もできる。今回のレースは大きくメディアにも取り上げられているので、町の活性化にもつながる。
その中でレースできることは非常に良い体験。とても素晴らしい。
©La Leyenda del Dorado
今日も安定の9位でフィニッシュ。まだまだ上を目指している。
後半戦に向けてあげていきたい。
5日目。ステージ4。
©La Leyenda del Dorado
スタートから超級の登りがいきなり始まる。
©La Leyenda del Dorado
60km以上登り続ける。
©La Leyenda del Dorado
グラントとも私も負けず嫌い。レースをしているかのようにお互いの限界を引き出し合った。
得意なところでは積極的に前へ出てリードする。
グラントの平坦や緩斜面でのパワーはすごい。足を緩めると一瞬で離されてしまう。
©La Leyenda del Dorado
死ぬほど辛いが、二人の追い込みの相乗効果で再び順位をあげて6位でフィニッシュ。
ESPNのテレビ取材で、後半の追い上げの様子を語った。日を追うごとにチームワークは良くなっている。あと二日。死力を尽くして一つでも順位を上げたい。
©La Leyenda del Dorado
6日目。ステージ5。標高約4000mまで登るクイーンステージ。
強い雨足の音で目が覚める。これから4000mの峠を目指すのにこの天候。不安が募るが、食べ物や防寒具も余計に持参し、シューズカバーを履き、ホットオイルも塗り、入念に雨と寒さ対策をした。
©La Leyenda del Dorado
序盤はグラントが引いていたが、標高が上がるにつれて、高地トレーニングをしていた私のパフォーマンスが上がり始めた。
©La Leyenda del Dorado
グラントはかなり辛そうだ。しかし、トップ選手たちも苦しんでいるようで、2チームをパス。
峠では雨は止んでいたものの、霧が濃く、風も強く、厳しい環境だった。
©La Leyenda del Dorado
一気に下り、そのままの勢いでゴールまで行きたかったが、ラスト20kmで私のエネルギーが落ちてしまった。逆にグラントの勢いは増し、彼のペースに必死に着いていく形となった。一人でいたらこのペースでは走れなかっただろう。チームメートのおかげで残っていた力を絞り出すことができた。
最後は土砂降りの雨の中でのフィニッシュ。
©La Leyenda del Dorado
7位。
7日目最終日。ステージ6。
©La Leyenda del Dorado
泣いても笑っても今日で最後。悔いを残さぬように全身全霊、全力全開で臨む。
©La Leyenda del Dorado
スタートは思うように体が動かず、焦るが登りが始まると次第に身体が動き始め前へと詰め始める。
途中のシングルトラックの下りでは攻めに攻めて順位をアップ。
©Diego Fernando Fotografo
ところどころにある担ぎセクション。
©La Leyenda del Dorado
きついがこのアドベンチャー要素もMTBの醍醐味。楽しむ気持ちを忘れずにポジティブにレースを進めた。
©La Leyenda del Dorado
フィニッシュが見えた瞬間。思わず笑みがこぼれた。
フィニッシュはマニサレスの大教会の目の前、そして数え切れないほどの観客、歓声、アナウンス、音楽、ものすごい盛り上がりを見せていた。
鳥肌が立ち、心臓がバクバクする大興奮のシチュエーション。
Photo: Mauro Vasquez ©2017
7日間必死に戦いあった最高のパートナー、グラントとその感動を分かち合った。
最終日7位。7日間総合8位。
もっと上に行きたかった。しかし、これが現状のベストを尽くした結果。
最低目標であった一桁フィニッシュは達成できたことは嬉しい。
今回の表彰台。あの場に心底立ちたかった。しかし、決して届かない場所ではない。
©La Leyenda del Dorado
女子表彰台。グラントのガールフレンドのエイミーと私の親友であるソーニャが接戦を制して総合優勝を果たした。心からおめでとう。そして、勇気をありがとう。
©La Leyenda del Dorado
そして、世界的にはほぼ無名であった地元コロンビアの選手達の強さにも驚かされた。
ここコロンビアでまた新しい経験と素晴らしい刺激をもらった。
ありがとう。
世界は広い。自分の可能性も然り。まだ知らない世界、領域は沢山ある。
開拓することでまた強くなり、成長できる。
成長の旅はまだまだ終わらない。
沢山の応援ありがとうございました。
池田祐樹
〜超戦〜
TOPEAK ERGON RACING TEAM USA